2019年05月25日

東京都美術館「クリムト展」

〈2019年美術展感想20展目〉
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クリムト展 ウィーンと日本1900
会場:東京都美術館
会期:2019.04.23-2019.07.10
観覧料:1,600円

19世紀末のウィーンを代表する画家クリムトの没後100年を記念した美術展です。
油彩画25点以上が展示される日本では過去最大級の展示とのこと。
本来は東京開催に行く予定はなかったのですが,都合がついたので行ってきました。
単純に東京国立博物館の「東寺」の人出が多すぎただけなのですけれどね。
巡回する豊田市美術館も何気に遠いので,東京で鑑賞出来たのは僥倖かもしれません。
実際のところ,クリムトはものすごく好きな画家というわけではありません。
それでもなお今回の美術展は大変に楽しかった。
平日の午前中でしたがそれなりの人入りで人気の程を伺えます。
クリムト展と銘打たれていますが,同時代のウィーンの画家の作品も多数展示されています。
寧ろ,クリムトの作品はそれ程多くない印象。
但し,印象に残るのは殆どがクリムトの作品というのが凄味なのでありましょう。
〈ユディトI〉や〈ヌーダ・ヴェリタス〉の存在感は圧倒的です。
何故かこの二作品は鑑賞者が少ない時間帯だったのかじっくりと眺めることが出来ました。
黄金をあしらえた絢爛豪華な作風と官能的な女性の表情が非常に魅力的です。
また,壁画〈ベートーヴェン・フリーズ〉の原寸大複製の展示が大変素晴らしい。
ある種の絵巻物としての騎士遍歴の物語が堪能出来ます。
実姪を描いた〈ヘレーネ・クリムトの肖像〉の愛らしさも特筆もの。
〈ユディトI〉とは異なる筆致での少女像を提示してくれます。
〈医学〉や〈哲学〉は戦火により実物が失われておりパネル写真の展示でした。
これらは習作を見る限りではかなり自分好みの作品であった模様。
芸術を灰燼に帰す戦争というものを恨んでしまいます。
クリムトの素晴らしさを存分に堪能できる美術展でありました。
興味の範囲からはやや外れる自分でもかなり楽しめたのが嬉しい。
よって,クリムト好きであれば,絶対に足を運ぶべき美術展かと思われます。
posted by 森山樹 at 06:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2019年05月23日

にしうら染『モネのキッチン(2)』



題名通りに印象派の巨匠モネとその食卓を題材とした漫画です。
と言っても,美食要素はそれほど強くない感じ。
寧ろ,モネと愛妻カミーユ,そして周囲の友人たちとの交流が描かれます。
マネやルノワール,ドガ,シスレー,ブーダンらが登場します。
個人的には唯一の女流画家ベルト・モリゾの描かれ方が大好き。
そして,名画の完成に至った背景が描かれるのも美術好きには楽しい。
モネとカミーユの出逢いの肖像〈緑衣の女〉の逸話は本当に好き。
物語は第1回のグループ展による印象派の成立までが描かれます。
この巻で完結というのはかなり残念。
まあ,この後は人間関係のぶつかり合いが露骨になりますからね。
頃合いと言えば頃合いなのかもしれません。
印象派好きにもそうでない美術好きにも楽しめる作品だと思います。
或いは全く興味がない人が印象派に靡く契機となる作品かもしれません。
その意味でもいろいろな人に読んで欲しい作品でありました。
posted by 森山樹 at 21:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 書籍

2019年05月20日

パラミタミュージアム「M.C.エッシャー展」

〈2019年美術展感想19展目〉
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M.C.エッシャー展(公式サイトなし)
会場:パラミタミュージアム
会期:2019.04.05-2019.05.28
観覧料:1,000円

大好きなM.C.エッシャーの作品をパラミタミュージアムで鑑賞してきました。
あべのハルカス美術館の「ミラクルエッシャー展」を見逃したので嬉しい機会です。
パラミタミュージアムは比較的ゆっくりと鑑賞出来るのが嬉しい。
休日でしたが開館と同時に入館したこともあって存分に楽しむことが出来ました。
エッシャーの初期の風景画や動植物を題材にした作品の展示が多かったのが特徴的。
勿論,みんな大好きなトロンプ・ルイユ作品の展示も十分にあります。
初期の風景画にも後の作品に見られるような幾何学模様が配置されているのが楽しい。
〈天地創造の二日目〉や〈小鳥に説法する聖フランシス〉などの宗教画もちょっと意外。
まだまだエッシャーの画業について知らないことがたくさんあることを痛感します。
『24の寓意画』に使用された各種の版画も楽しい。
〈サイコロ〉や〈天秤〉,〈南京錠〉といった題材が好きなのもありますが。
平面の正則分割が技法として用いられるようになると完全に印象通りの作品となります。
このあたりは殆どが何処かで目にした作品ばかりなのですが,それでも楽しめます。
〈滝〉とか〈物見の塔〉,〈四面体の小惑星〉などがやはり大好き。
その幾何学模様と精緻な作風を心ゆくまで堪能することが出来ました。
今回の展示で一番好きなのは〈三つの世界〉かなあ。
反射や非反射,透過といった水の特性を生かした静謐な表現がたまりません。
風景画と言えば風景画なのでしょうが,そこにあるのはエッシャーの世界そのもの。
〈静物と街路〉の有り得ない,けれども自然に見えてしまう世界も素敵。
エッシャーの世界に入り込みたくなる衝動に駆られます。
久しぶりに鑑賞したエッシャーの作品でしたが,改めて大好きであることを実感します。
法則性に彩られた不条理な世界を今後も堪能していきたいものであります。
posted by 森山樹 at 20:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2019年05月12日

福岡市美術館「これがわたしたちのコレクション」

〈2019年美術展感想18展目〉
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福岡市美術館リニューアルオープン記念展「これがわたしたちのコレクション」
会場:福岡市美術館
会期:2019.03.21-2019.05.26
観覧料:200円

福岡市美術館のリニューアルオープンを記念したコレクション展。
明治期の洋画から現代美術に至るモダンアートが中心になっています。
旅先で見かけての鑑賞だったのですが,これが大当たり。
200円という観覧料にそぐわぬ充実した展示でありました。
更に籤まで引けてポストカードを貰えたのが嬉しい。
モダンアートは主たる興味ではありませんが,新たな出逢いも嬉しいものです。
マルク・シャガールの〈空飛ぶアトラージュ〉は大好き。
幻想的な雰囲気を愛してやみません。
ポール・デルヴォーの〈夜の通り(散歩する女たちと学者)〉もいいですね。
サルバトール・ダリは〈ポルト・リガトの聖母〉。
各1点ずつの展示でしたが,これだけでも十分に満足。
それぞれにそれぞれの魅力が存分に際立った作品ばかりでありました。
現代芸術もたくさんあったのですが,これは本当に分からない。
面白いものも多かったので,それで良いのかもしれません。
アンドレアス・グルスキーの〈株主総会〉とかは好きなんですけどね。
ジャン=ミシェル・バスキアとかも見ていて楽しいのは事実。
良し悪しと言われると分からなくなるけれども。
それよりも何よりも藤野一友という画家の存在を知ったのが大きかった。
尤も,今回初めて名前を知っただけなのですけどね。
SF小説読みとしては何処かで見た表紙絵を手掛けた人物でありました。
〈聖アントワーヌの誘惑〉や〈ヴィナス誕生〉等の題材も大変に好み。
澁澤龍彦が熱愛したのも宜なるかなという印象があります。
画風も題材も非常に好きなので今後も追いかけていきたいですね。
どれくらいの作品が何処に収められているのかも調べないといけませんが。
この福岡市美術館の藤野一友コレクションも是非見たいですね。
いつか藤野一友展をしてくれないものでしょうか。
いずれにせよ,大変に収穫の多かった美術展でありました。
リニュアール後ということで非常に綺麗で設備面も大満足。
なかなか足を運ぶ機会はありませんが,またいつか行きたい美術館です。
旅先での出逢いも大切にしたいと思います。
posted by 森山樹 at 21:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2019年05月05日

2019年4月美術鑑賞記録

2019年4月に鑑賞した美術展は以下の通り。
兵庫県立美術館「不思議の国のアリス展」
兵庫県立美術館「没後130年 河鍋暁斎」
名古屋市美術館「印象派からその先へ」

4月に鑑賞した美術展は3展。
多忙な中でしたが,神戸遠征が出来たのは重畳というもの。
特に「没後130年 河鍋暁斎」は見逃したくない美術展でありました。
改めて河鍋暁斎の作品が如何に好きかということを痛感します。
サントリー美術館の展示では見られなかった作品が鑑賞出来たのも嬉しい。
同時開催の「不思議の国のアリス展」も楽しかったです。
ジョン・テニエルの原画はやはり大好きですね。
他の絵師によるアリスも悪くないですが,テニエルが一等好きです。
アーサー・ラッカムの挿絵も大好きではあるのですけれども。
「印象派からその先へ」は吉野石膏コレクションからの展示でした。
印象派はともかくポスト印象派以降は得意とするところではありません。
それでもシャガールやローランサンの作品が見られたのは良かったです。
キュビスムやフォーヴィスムも解するようになりたいものです。
美術的な素養のなさは最早諦めてはいるのですが。
posted by 森山樹 at 07:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術鑑賞記録