2019年09月18日

国立西洋美術館「松方コレクション展」

〈2019年美術展感想32展目〉
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松方コレクション展
会場:国立西洋美術館
会期:2019.06.11-2019.09.23
観覧料:1,600円

国立西洋美術館開館60周年を記念して開催された美術展です。
松方コレクションとは松方幸次郎が欧州各地で蒐集した美術コレクション。
多くは第二次大戦時に散逸してしまっています。
その中でも返還された一部作品を保管するために設立されたのが国立西洋美術館。
即ち,国立西洋美術館の母体となったコレクションということも言えます。
今回は返還されなかった作品も含めた160点が展示されるというのが嬉しい。
非常に貴重な機会であると言えましょう。
展示されている作品は印象派に連なる作品が多めですが多岐に渡っており楽しい。
特にロセッティやミレイ等のラファエル前派の作品は想定外だったので嬉しかった。
これらの作品も松方コレクションに含まれているのですね。
展示は基本的には時系列に沿ったものと言っていいのかな。
松方幸次郎が入手した時期に応じて関連性のある作品が展示されています。
特に壁一面に松方コレクションが展示されていた最初のコーナー。
何処か海外の美術館を思わせる展示となっていました。
余計な解説がないので,作品そのものを存分に堪能出来るのも好印象。
尤も,次のコーナーからは通常の美術展らしい展示になっていましたけれども。
また,川崎造船所を率いた松方幸次郎らしく海と船を題材とした作品も多かった。
このあたりは先日鑑賞したバレル・コレクションとの共通性を感じます。
ブラングィンやドービニーの作品が割とお気に入りです。
パリのコーナーではモネやルノワール等の印象派作品が大充実。
幾らでも時間を費やして鑑賞したくなります。
最後は北方で入手した作品群ということでブリューゲルやドラクロワ,ムンク等。
ムンクの〈吸血鬼II〉は特に心に残りました。
こんなに自分好みの作家だとは思わなかったですね。
エピローグとしてモネの〈睡蓮,柳の反映〉が修復後初公開されていました。
現存部分だけでも此処まで素晴らしいのだから,完全な姿で鑑賞したかったです。
しかし,此処まで修復されたことに感謝と敬意を捧げざるを得ません。
時代に翻弄された松方コレクションを存分に堪能出来る素晴らしい美術展でした。
散逸がなく,完全なままの姿であればと思わざるを得ません。
posted by 森山樹 at 06:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2019年09月07日

静岡市美術館「印象派への旅 海運王の夢」

〈2019年美術展感想31展目〉
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印象派への旅 海運王の夢
会場:静岡市美術館
会期:2019.08.07-2019.10.20
観覧料:1,300円

海運王ウィリアム・バレルが遺したコレクションを中心とした美術展です。
その性質上,殆どが日本初来日の作品ばかりというのが嬉しい。
ドガやゴッホ,ルノワール,セザンヌといった印象派周辺の作品が中心です。
展示数は80点と見応えも十分ありました。
特にドガの〈リハーサル〉はまさに目玉というのに相応しい作品でありましょう。
ドガの大回顧展の図録の表紙を飾ったこともある作品です。
また,海運王の名に相応しく海や船を描いた作品が多かったのも楽しかった。
ウジェーヌ・ブーダンの〈ドーヴィル,波止場〉等は大好き。
意外に静物画が充実していたのも個人的には好みでした。
ファンタン=ラトゥールの〈春の花〉の美しさは格別。
マネの〈シャンパングラスのバラ〉も鮮やかでありました。
風景画ではルノワールの〈画家の庭〉に心惹かれました。
印象派には特段の思い入れはないのですが,ルノワールは別格ですねえ。
とは言え,やはり今回の展示では〈リハーサル〉に群を抜いて引き付けられました。
会場内が比較的空いていたので,独り占めする時間帯もあったのは重畳そのもの。
その美しさを心行くまで堪能出来る素敵な体験でありました。
また,バレル・コレクションが存在するスコットランドの画家の紹介も興味深かった。
ジョゼフ・クロホールの水彩〈二輪馬車〉はいいなあと思いました。
まあ,クロホールはイングランドの出身らしいですけれどね。
静岡まで足を運んだ甲斐があった素敵な美術展でありました。
本来であればグラスゴーでしか見ることが出来ない作品ばかりですからね。
いつか彼の地で再会出来ることを望みたいと思います。
posted by 森山樹 at 19:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2019年09月03日

2019年8月美術展鑑賞記録

2019年8月に鑑賞した美術展は以下の通り。
静岡市美術館「印象派への旅 海運王の夢」
国立西洋美術館「松方コレクション展」
中野区歴史民俗資料館「井上円了没後100年展」
東京藝術大学大学美術館「円山応挙から京都近代画壇へ」
国立歴史民俗博物館「もののけの夏」

8月に鑑賞した美術展は5展。
中旬以降にまとめて鑑賞したので感想を書けていません。
これらの感想は今後書いていきます。
「井上円了没後100年展」と「もののけの夏」は美術展とは言い難いけどね。
ただし,展示の大半は美術作品だったので此処で扱いたいと思います。
このあたりの仕分けは悩ましいですねえ。
民俗学ブログを立ち上げるという程でもないでしょうし。
何はともあれ,「松方コレクション展」が素敵でした。
印象派が多めではありますが,ロセッティやミレイの展示が嬉しい。
割合に混んでいましたが,鑑賞に支障を来す程ではなかったです。
「円山応挙から京都近代画壇へ」の楽しさも異常。
江戸時代の日本美術は心を捕らえて放しません。
このあたりはもっと勉強していきたいもの。
静岡で鑑賞の「印象派への旅」も良かったです。
足を運んだ甲斐がありました。
posted by 森山樹 at 06:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術鑑賞記録

2019年09月02日

2019年9月美術展鑑賞予定

【関東】
アンティーク着物万華鏡@弥生美術館(07.05-09.29)
みんなのミュシャ@Bunkamuraザ・ミュージアム(07.13-09.29)
みんなのレオ・レオーニ@損保ジャパン日本興亜美術館(07.13-09.29)
ミュシャと日本,日本とオルリク@千葉市美術館(09.07-10.20)
大観・春草・玉堂・龍子@山種美術館(08.31-10.27)
美しきいのち 日本・東洋の花鳥表現@根津美術館(09.07-11.04)
コートルード美術館展@東京都美術館(09.10-12.15)
オランジュリー美術館コレクション@横浜美術館(09.21-01.13)
 
【中部・東海】
浮世絵展@田原市博物館(07.20-09.08)
合戦図@徳川美術館(07.27-09.08)
キスリング エコール・ド・パリの煌き@岡崎市美術博物館(07.27-09.16)
ちひろ・アンデルセンの世界@安曇野ちひろ美術館(07.20-09.30)
シャルル=フランソワ・ドービニー展@三重県立美術館(09.10-11.04)

【近畿】
わくわくびじゅつギャラリー いのりの世界のどうぶつえん@奈良国立博物館(07.13-09.08)
ニャンダフル 浮世絵猫の世界展@大阪歴史博物館(07.27-09.08)
龍谷の至宝@龍谷大学龍谷ミュージアム(07.13-09.11)
驚異と怪異@国立民族学博物館(08.29-11.26)

興味のある美術展はそれなりに多そう。
東京遠征は流石に無理ですが,大阪くらいには行きたいもの。
「浮世絵猫の世界展」と「驚異と怪異」は絶対に楽しい筈。
会期を考えれば今週末に行くことを検討したいものです。
天候次第というところもありますが。
三重県立美術館の「シャルル=フランソワ・ドービニー展」も楽しみ。
この手の海外画家の美術展は三重県立美術館では珍しい気がします。
「コートルード美術館展」も行きたいなあ。
「オランジュリー美術館コレクション」と合わせて年内には,かなあ。
巡回展ありそうなので,そのあたりの情報収集もしておきたいものです。
posted by 森山樹 at 06:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展鑑賞予定

2019年08月07日

サントリー美術館「遊びの流儀 遊楽図の系譜」

〈2019年美術展感想30展目〉
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遊びの流儀 遊楽図の系譜
会場:サントリー美術館
会期:2019.06.26-2019.08.18
観覧料:1,300円

“遊び”を題材とした美術を取り上げた美術展です。
同種の試みは何年か前に京都国立博物館でも鑑賞した記憶があります。
それだけ“遊び”というものは或る種の重要な存在なのでありましょう。
展示物は遊楽図から貝合わせ,双六,カルタといった遊び道具まで多様なもの。
勿論,琴棋書画を描いた作品も楽しいのですが,遊び道具そのものに心惹かれます。
貝合わせに使われる蒔絵が描かれた貝の美しさは何度見ても素晴らしい。
また,天正かるたやうんすんかるたといったトランプの一種も素敵。
タロットやトランプとの相違を興味深く鑑賞しました。
現代のトランプよりも個人的には面白そうに感じました。
勿論,洗練さという意味合いでは遠く及ばないのかもしれませんが。
また,双六の道具一式も心惹かれる存在のひとつ。
重要文化財に指定されている西洋双六盤を収める蒔絵螺鈿箱は美しかった。
思わず所有欲を刺激されてしまいます。
改めてこのあたりのゲームというものが大好きなのだなあと実感する次第です。
琴棋書画図或いは遊楽図も相当数の展示があって見応えがありました。
邸内遊楽図或いは野外遊楽図は様々な遊びに興じる人々の姿が楽しい。
当時の人々も様々な形で生を楽しんでいたことを知ることが出来ます。
屏風絵等の大作から扇絵等の小品もあり,飽きさせない構成となっています。
改めて“遊び”というものが自分にとって非常に重要な存在であることを感じます。
その意味でもこの種の展示はもっと増えて欲しいものですね。
天正かるたや西洋双六盤が思わず欲しくなる,そんな美術展でありました。
posted by 森山樹 at 06:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想