2015年09月25日

名古屋市博物館「いつだって猫展」

〈2015年美術展感想17展目〉
いつだって猫展.JPG


いつだって猫展

会場:名古屋市博物館
会期:2015.04.25-06.07
観覧料:¥1,300
図録:未購入

 名古屋市博物館で開催された「いつだって猫展」を鑑賞してきました。名古屋市博物館は偶に自分好みの美術展を開催してくれるのが嬉しい。個人的には活動範囲から若干外れているのでなんとなく行き辛さを感じる場所ではあります。地下鉄を何度か乗り換えるのが面倒なのですよね。歩いていくには名古屋駅からは結構ありますしね。とは言え,施設自体は割に広くて快適に鑑賞することが出来ます。その点は満足かな。

 その題名通りに猫に拘った美術展です。とは言え,その殆ど全ては江戸時代後期の猫を題材とした浮世絵の展示となっています。特に猫好きで有名だった歌川国芳の作品が多かったことには大満足。まあ,何処かで一度は鑑賞したことのある作品が殆どではあったのですけれども。他にも月岡芳年の作品もそれなりに展示されていました。一点だけ河鍋暁斎も有った筈。このあたりは大好きな作品ばかりなので嬉しいです。展示は大きく四つに分けられていましたが,個人的にはやはり妖怪である化け猫或いは猫又を描いた作品に目が行ってしまいます。また,擬人化された猫を描いた一連の作品の可愛らしさは素晴らしい。≪画図百鬼夜行≫や≪耳袋≫の展示があったのは楽しいです。勿論,歌川国芳による戯画化された猫の作品もやはり楽しい。様々な形で猫が江戸時代の生活に密着していたことを窺わせます。圧巻だったのは招き猫がたくさん展示してあったこと。招き猫に限りませんが,展示物の多くが個人蔵というのも驚きました。その保存状態の良さが素晴らしいです。

 猫好きとしては存分に楽しめる美術展でした。江戸時代に限らず,もっと範囲の広い猫に関する美術を展示して欲しかった気もしますが,これはこれで十分に楽しいです。やはりこの種の題材を絞った美術展は大好き。あまり見受けられないだけにもっと増えて欲しいものです。また,改めて自分が浮世絵というものに魅せられていることを再確認しました。日本を含めた東洋美術よりも西洋美術の方に心惹かれることは否めないのですが,浮世絵だけは特別のようです。今後も積極的に鑑賞していきたいものであります。その為にももっと知識を蓄えないといけません。
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2015年09月18日

Bunkamuraザ・ミュージアム「ボッティチェリとルネサンス」

〈2015年美術展感想16展目〉
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ボッティチェリとルネサンス フィレンツェの富と美
会場:Bunkamuraザ・ミュージアム
会期:2015.03.21-06.28
観覧料:¥1,500
図録:未購入

 Bunkamuraザ・ミュージアムで開催された「ボッティチェリとルネサンス」を鑑賞してきました。相変わらず,Bunkamuraザ・ミュージアムの企画展は自分好みのものばかり。毎年何度も足を運んでいるような気がします。漸く,渋谷駅から迷わずに到着するようになったのも大きい。尤も,渋谷の混雑は何度行っても慣れることがないのですけれども。あの雑踏には馴染めません。面白いのは面白いのですけれどね。

 今回の展示はボッティチェリに焦点を当てたもの。ルネサンス美術は古典文化の復興を志したものということもあり,ギリシアやローマ文化好きとしてはたまらないものがあります。その中心人物のひとりとしてのボッティチェリもやはり大好きな画家であります。そのボッティチェリの作品が工房作を含むとはいえ全部で17点。更に絵画や資料など約80点が展示されるという国内史上最大規模のボッティチェリ展ということで見応えは十分でありました。期間限定の展示であった≪聖母子と洗礼者ヨハネ≫が鑑賞出来なかったのは残念ですけれども。メディチ家の庇護のもとにルネサンス時代のボッティチェリの作品はどれもがみな印象的。特に≪受胎告知≫や≪聖母子と二人の天使≫,≪ケルビムを伴う聖母子≫などの作品から感じられる神性は素晴らしいものがあります。それだけに,サヴォナローラに感化されて後の晩年期の作品で見られる変容が悲しい。サヴォナローラの思想を継承するかのように,華やかな作風が影を潜めてしまうのですよね。勿論,この時代の作品も魅力はあるのですが,やはりメディチ家時代のものの方が好みであります。そのメディチ家に代表されるフィレンツェの繁栄の象徴であるフィオリーノ金貨が相当数展示されていたのは世界史趣味者的に楽しめました。単純に美術作品を集めただけの美術展よりも,その時代を映す文物のある展示の方が個人的には好みです。

 久しぶりのルネサンス美術を堪能しました。やはり個人的には古典を題材とした作品に心惹かれるということを再実感します。尤も,新約聖書よりも旧約聖書や或いはギリシア・ローマ神話のほうを題材とする方が好みではあるのですけれどね。いつかは≪春≫や≪ヴィーナスの誕生≫といった人類史に永遠に燦然と輝きを放つであろう代表作も鑑賞したいものであります。流石に来日することは難しいと思いますので,収蔵されているウフィツィ美術館を訪れる日を夢見たいと思います。その日が早く来るように望みます。
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2015年09月07日

国立新美術館「マグリット展」

〈2015年美術展感想15展目〉
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マグリット展
会場:国立新美術館
会期:2015.03.25-06.29
観覧料:¥1,600
図録:未購入

 国立新美術館で開催された「マグリット展」を鑑賞してきました。同時期に「ルーヴル美術館展」も開催されていたので,人出を相応に覚悟していたのですが,存外に少なかったのは嬉しい。或いは逆に分散したのかもしれません。一応は平日だったのも幸いしたように思います。いずれにせよ,ルネ・マグリットの作品を心行くまでゆっくりと鑑賞することが出来たのは僥倖でありました。

 ルネ・マグリットは言わずとしれたシュールレアリズムを代表するベルギーの画家です。自分の最も愛する芸術家のひとりといっても過言ではないでしょう。日本国内では13年ぶりとなる回顧展ですが,その時は名古屋市美術館で鑑賞したことをはっきりと憶えています。今回も約130点の展示ということで見応えは十分でした。その中には勿論≪白紙委任状≫や≪ゴルコンダ≫,≪空の鳥≫,≪光の帝国≫といった代表作も含まれています。特に大好きな≪光の帝国≫には見入ってしまいました。≪シェヘラザード≫や≪野の鍵≫などもお気に入り。どの作品も超現実の世界で彩られた奇想に満ちており,その秘められた真意を思わず考えてしまいます。此処まで想像力を刺激する芸術作品というのは決して多くありません。筆致が明快なだけに,却ってその作品が含有する象徴に想いを巡らせてしまう気がします。勿論,単純に眺めているだけでも存分に楽しいのですけれども。また,今回の展示ではマグリットの心境に伴う作品の変遷を辿ることが出来たのは収穫でした。特に戦争期に劇的に変化した作風が印象的。印象派を思わせるルノワールの時代はマグリットの作品とは分からないくらいに異なる雰囲気を有していました。その後に回帰した晩年の作品を鑑賞すると安堵します。やはりマグリットの作品は晩年のものが一番自分の好みに合います。

 心行くまで満足出来た美術展でありました。マグリットの代表作をひととおり鑑賞出来たのは大変喜ばしい。自分がマグリットの作品を心から愛していることを再認識いたしました。とは言え,作品に込められた意味はやはりきちんと理解出来ないものが多いのは事実。或る種の謎解きのようにも思えます。いずれにしても,今後もマグリットの美術展には欠かさず足を運ぶようにしたいもの。いつかは2009年にブリュッセルに開館したマグリット美術館にも行きたいものであります。
posted by 森山樹 at 21:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年09月02日

2015年9月美術展鑑賞予定

【関東】
No Museum, No Life ?@東京国立近代美術館(06.16-09.13)
うらめしや〜,冥途のみやげ展@東京藝術大学大学美術館(07.22-09.13)
機動戦士ガンダム展@森アーツセンターギャラリー(07.18-09.27)
錦絵誕生250年記念 線と色の超絶技巧@太田記念美術館(08.01-09.27)
躍動と回帰 桃山の美術@出光美術館(08.08-10.12)
蔵王権現と修験の秘宝@三井記念美術館(08.29-11.03)
風景画の誕生@Bunkamuraザ・ミュージアム(09.09-12.07)
春画展@永青文庫(09.19-12.23)
【中部・東海】
富士山−信仰と芸術−@静岡県立美術館(09.05-10.21)
イギリス王立植物園の植物画@パラミタミュージアム(09.05-10.25)
ヴェネツィア展@名古屋ボストン美術館(09.19-02.21)
【近畿】
トーベ・ヤンソン展@あべのハルカス美術館(07.25-09.27)
伊藤若冲と琳派の世界@承天閣美術館(04.04-09.28)
レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展@京都文化博物館(08.22-11.23)
東西美人画展@山王美術館(09.03-01.31)

東京藝術大学美術館の「うらめしや〜,冥途のみやげ展」は事実上無理。
流石にこれだけの為の遠征するのは躊躇われます。
時間的にも余裕はないですしね。
残念だけど,仕方ありません。
静岡旅行のついでに「富士山−信仰と芸術−」は足を運ぶつもり。
博物画好きとしては「イギリス王立植物園の植物画」も期待しています。
「ヴェネツィア展」は会期が長めなので余裕があるときにでも鑑賞してきます。
忘れないようにだけはしないといけません。
関西地方では大阪の「トーベ・ヤンソン展」は優先度が高め。
名古屋の「ムーミン展」に行けなかったので,此方は鑑賞したいものです。
京都のレオナルド・ダ・ヴィンチ展も期待は大きい。
但し,此方は来月以降となる予定。
芸術の秋を迎えて楽しみな美術展が増えてくるのは嬉しいです。
効率の良い鑑賞計画を立てたいと思います。
posted by 森山樹 at 06:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展鑑賞予定

2015年09月01日

2015年8月美術展鑑賞記録

2015年8月に鑑賞した美術展は以下の通り。
白鳳@奈良国立博物館
魔女の秘密展@名古屋市博物館
ダブル・インパクト@名古屋ボストン美術館
芸術植物園@愛知県美術館

それなりに美術鑑賞出来て嬉しい月でした。
然程遠征せずに毎月これくらい鑑賞出来る環境が望ましいです。
「白鳳」と「魔女の秘密展」は別ブログで感想を書くかもしれません。
どちらかというと歴史趣味的な内容に思えましたので。
尤も,厳密に分けるつもりはないのですけれどもね。
その「白鳳」はその名の通り白鳳文化を扱っています。
馴染のない時代ではありましたが,存外に楽しかった。
白鳳時代の仏像の特色が色濃かったのは面白かったです。
まだまだ知らないことがたくさんありますね。
「魔女の秘密展」はその名の通りに魔女を題材としています。
学術的な見地から魔女を扱うというのは珍しい試みではないでしょうか。
魔女裁判を臆することなく取り上げたのは興味深い。
拷問器具などの展示までありましたからね。
現在の創作文化との関わりがもっと取り上げられた良かったかしらね。
「ダブル・インパクト」はふたつの美術館の提携による美術展。
明治時代の日本の近代美術が取り上げられます。
基本的には守備範囲外なのですが,最近関心のある分野なので楽しめました。
同時にこのあたりの知識の欠如も痛感しました。
もっと勉強しないといけません。
「芸術植物園」は植物を題材とした美術展。
博物画好きにはたまらない展示内容でした。
現代芸術になってくると理解出来なくなってくるのですけれどね。
それを含めて楽しかったのも事実。
割合に地味な美術展ですが,同好の方にはお勧めできます。
posted by 森山樹 at 16:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術鑑賞記録