2015年10月25日

国立新美術館「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」

〈2015年美術展感想20展目〉
ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展.JPG

ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展

会場:国立新美術館
会期:2015.06.24-08.31
観覧料:¥1,000
図録:未購入

 国立新美術館で開催の「ニッポンのマンガ*アニメ*ゲーム展」に行ってきました。この類の所謂サブカルチャーに属する分野の美術展というのはあまり行ったことがありません。興味がないわけではないのですが,学問という視点で捉えるのに違和感を覚えてしまうのですよね。とは言え,アニメはともかくとして漫画とゲームは大好きな分野であります。特に日本のゲーム史,尤もコンピュータゲーム史に限られますが,を俯瞰する意味で足を運んでみた次第です。

 全般的に楽しかったのですが,はっきりとわかるのはある時期を境に自分の興味が本流から外れてきているということ。特に2000年代の,特にインターネット上で話題になった作品には疎いことを痛感します。同人由来の作品というものには全くと言っていいほど触れていないのですよね。『ひぐらしのなく頃に』や『東方紅魔境』などはその最たるものでありましょう。或いはアニメに至っては話題となった作品すらも殆ど触れたことがない有様です。『新世紀エヴァンゲリオン』にしたところで,まともに触れたのは所謂新劇場版からですからね。但し,『機動警察パトレイバー 劇場版』や『機動警察パトレイバー2 the movie』当たりの展示は普通に楽しめました。ファミコン以来のゲーム好きとしては上述の同人由来のもの以外は一通り触れたことがある作品ばかりで懐かしさを覚えながらも楽しかった。『ファイナルファンタジーVII』を初めて見た時の映像美を思い出します。『鉄騎』のあの操縦席の展示も嬉しいです。また,「キャラクターが生きる=「世界」」と題された展示では『ときめきメモリアル』や『ラブプラス』の展示が楽しかった。漫画の分野では『3月のライオン』や『俺たちのフィールド』,『モンキーターン』などの原画が鑑賞出来たのは収穫。結構な数の原画があったのですが,少女漫画が多かったように思うのは気のせいかなあ。半分以上は読んだことのない作品でした。

 期待以上に楽しめた美術展でした。美術展と言っていいのかどうかは分からないけれども。少なくとも自分の大好きなコンピュータゲームを振り返る意味では得難い展示でありました。人気のある作品ばかりだったので,広く浅くといった印象は否めませんけれども。アニメに関しては自分の対象外ということで,かえって興味深かったのが面白い。サイバーパンクに属する作品は今後積極的に鑑賞していきたいものです。漫画は基本的に原画の展示に留まっていたのが残念かなあ。ゲームと漫画とアニメを扱うということで散漫になってしまっていたのは残念。どうせなら,ひとつを掘り下げて欲しかった。或いはライトノベルを加えて,メディアミックスという視点で対象を広げてしまうかね。いずれにせよ,懐かしさという観点からは楽しむことが出来て満足です。学問として見るにはもう一歩足らなかった感はあるけれども。
posted by 森山樹 at 23:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年10月18日

三菱一号館美術館「画鬼暁斎」

〈2015年美術展感想19展目〉
画鬼暁斎.JPG

画鬼暁斎 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル
会場:三菱一号館美術館
会期:2015.06.27-09.06
観覧料:¥1,500
図録:未購入

 三菱一号館美術館で開催の「画鬼暁斎」に行ってきました。河鍋暁斎を扱った美術展というだけで既に期待感が煽られてしまいます。場所が三菱一号館美術館というのもたまらなく素敵。今回の「画鬼暁斎」は河鍋暁斎だけではなく,その弟子であったジョサイア・コンドルも大きく取り上げられているのですが,会場である三菱一号館美術館を設計したのがジョサイア・コンドルその人なのですよね。まさに三菱一号館美術館の開館5周年を祝するに相応しい美術展と言えるでしょう。しかし,まだ5周年というのが結構意外。既に何度も通っている美術館ですからね。今後も末永く楽しませて欲しいものであります。

 今回の美術展は河鍋暁斎とジョサイア・コンドルとの交流を軸としながら,それぞれの作品を存分に楽しめる展示となっています。一部の展示は期間中に入替が行われたようですが,展示総数は約120点ということで,非常に見応えがありました。中にはアメリカのメトロポリタン美術館収蔵する為に約100年ぶりの帰国となった水墨画を始め,河鍋暁斎記念美術館所蔵の初公開作品もあるなど貴重な作品があるのが嬉しい。勿論,自分が一番期待する妖怪を描いた奇想の作品の展示もありました。しかし,一番驚いたのはジョサイア・コンドルの作品です。ジョサイア・コンドルが河鍋暁斎の弟子であり,暁英という名を与えられていたのは知っていましたが,此処まで美しい作品を残していたとは思いませんでした。最早,日本人の作品と言っても遜色ないほどに暁斎の画風を我が物としていたように感じます。その暁斎とコンドルの交流が随所に登場する〈暁斎画日記〉も面白かった。この師弟関係は或る種の理想に思えます。暁斎の作品ではやはり妖怪や美人画に目が行ってしまうのですが,〈百鬼夜行 猫又と狸〉や〈九尾の狐図屏風〉,或いは〈地獄太夫 がいこつの遊戯ヲゆめに見る図〉などの魅力は格別でありました。また,勿論初めて見るメトロポリタン美術館収蔵の水墨画〈群鹿図〉や〈蛙を捕まえる猫〉にも心惹かれます。河鍋暁斎に限りませんが,動物を描いた作品はやはり好みであります。作品を描くことに没頭する暁斎を描いたジョサイア・コンドルの〈Kyosai sensei at Nikko, August.5〉も素敵でした。師に寄せる弟子の敬意と愛情を感じます。

 大好きな美術館での大好きな画家の美術展ということで期待度は高かったのですが,それに存分に見合う素晴らしい展示でありました。ジョサイア・コンドルの設計ということを鑑みると今回の美術展に限って言えば三菱一号館美術館そのものも展示物のひとつということが言えようかと思います。幕末から明治期にかけての浮世絵は自分の心を捕えて離さない芸術領域のひとつであることを今更ながらに確信した美術展でありました。今後もこの類の美術展は積極的に足を運ぶとともに建築家としてジョサイア・コンドルが手掛けた現存する建築物も巡っていきたいと思います。
posted by 森山樹 at 11:42| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年10月15日

国立西洋美術館「ボルドー展」

〈2015年美術展感想18展目〉
ボルドー展

ボルドー展 美と陶酔の都へ
会場:国立西洋博物館
会期:2015.06.23-09.23
観覧料:¥1,600
図録:未購入

 国立西洋美術館で開催された「ボルドー展」を鑑賞してきました。ボルドーという都市を題材にした美術展というのは目新しい。他には「ヴェネツィア展」くらいしか思い当りません。とは言え,古代ローマ以来の歴史があり,交易と芸術の中心地として栄えたボルドーにはそれだけの魅力があるのも事実。これはヴェネツィアとも共通する点であり,芸術が発展するには経済的に恵まれることが必要条件であるということを示しているように思います。今回の美術展はボルドー市の全面的な協力を得て実現したとのこと。先史から現代に至るまでのボルドーの歴史を追うことが出来る美術展であります。

 今回の美術展は単純に絵画だけではなくボルドーの歴史を彩る様々な文物が展示されています。その中でも一番の目玉と言えるのが〈角を持つヴィーナス〉とも呼ばれる〈ローセルのヴィーナス〉。約25000年前に彫られたと推定されるその先史時代の彫刻の豊かな美は格別。大地母神を思わせる豊満な肢体はあまりにも美しい。この〈ローセルのヴィーナス〉が最初の展示というのだからたまりません。他にも〈オーロックスが刻まれた銛〉や〈メーリンゲン型の剣〉など,古代のボルドーを代表する様々な文物が楽しませてくれます。このあたりは歴史趣味者としても十分に堪能しました。また,ワインの街の名に相応しく,ワインを扱った展示が多かったのも特徴的。〈ボルドー・ワイン用のアンフォラ〉から〈ワイン・クーラー〉まで多くの展示がありましたが,中でも個人的には様々な〈ワインのエチケット〉が楽しかった。ワインにはまるで明るくないのですが,思わずもっと知りたくなってしまいます。そして,本来の目的である絵画も大満足の陣容でありました。何と言っても,火災を潜り抜けたドラクロワの〈ライオン狩り〉は圧巻。それを模写することで詳細を現代に伝えたのがオディロン・ルドンの展示があるというのも素敵です。そのルドンも『ゴヤ讃』に収められた作品が幾つか展示されていました。他にもピエール・ラクールやルーベンス,モネらの作品の展示もあり,実に満足度の高い美術展でありました。

 先史から現代に至るボルドーの美を俯瞰的に堪能出来る素晴らしい美術展でありました。フランスの中でも特に心惹かれる街のひとつであったボルドーに対する興味が弥増しになった想いです。特にこういったひとつの題材を取り上げた美術展が好きなので,猶更に楽しめた感があります。ボルドーにはいつか行ってみたいもの。月の港と称せられる美しいボルドーの港町を是非とも歩いてみたいものであります。歴史ある都市の芳醇な文化に酩酊出来る素晴らしい美術展でありました。大変に満足です。
posted by 森山樹 at 22:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年10月05日

2015年10月美術展鑑賞予定

【関東】
躍動と回帰 桃山の美術@出光美術館(08.08-10.12)
蔵王権現と修験の秘宝@三井記念美術館(08.29-11.03)
歌麿・栄泉・北斎@太田記念美術館(10.02-11.23)
古代エジプト美術の世界展@松濤美術館(10.06-11.23)
風景画の誕生@Bunkamuraザ・ミュージアム(09.09-12.07)
モネ展@東京都美術館(09.19-12.13)
マリー・ローランサン@府中市美術館(09.12-12.20)
春画展@永青文庫(09.19-12.23)
黄金伝説展@国立西洋美術館(10.16-01.11)
プラド美術館展@三菱一号館美術館(10.10-01.31)
始皇帝と兵馬俑@東京国立博物館(10.17-02.21)
【中部・東海】
富士山−信仰と芸術−@静岡県立美術館(09.05-10.21)
イギリス王立植物園の植物画@パラミタミュージアム(09.05-10.25)
歌川国芳展@松坂屋美術館(10.24-11.23)
英国の夢 ラファエル前派展@名古屋市美術館(10.03-12.13)
ヴェネツィア展@名古屋ボストン美術館(09.19-02.21)
【近畿】
正倉院展@奈良国立博物館(10.24-11.09)
レオナルド・ダ・ヴィンチと「アンギアーリの戦い」展@京都文化博物館(08.22-11.23)
琳派 京を彩る@京都国立博物館平成知新館(10.10-11.23)
浮世絵版画 美の大世界@奈良県立美術館(10.10-12.06)
フェルメールとレンブラント@京都市美術館(10.24-01.05)
東西美人画展@山王美術館(09.03-01.31)

芸術の秋を迎えて鑑賞したい美術展が増えて来ました。
特に関東圏の充実ぶりが羨ましい。
年内に一度は東京遠征をしないといけません。
関西ではやはり「正倉院展」が楽しみ。
会期が短いので,早めに鑑賞する日を決めたいと思います。
「フェルメールとレンブラント」の開催も始まりますしね。
東海地方は数が少ないのですが,楽しみなものが幾つか。
「英国の夢」はラファエル前派好きとしては絶対に見逃せません。
最近,ラファエル前派関係の美術展が多いようにも思いますけれども。
「ヴェネツィア展」も大変に期待している美術展のひとつ。
また,「歌川国芳展」も非常に楽しみです。
このあたりは効率的に鑑賞していきたいもの。
どれひとつとして見逃すと後悔しそうな美術展ばかりであります。
posted by 森山樹 at 06:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展鑑賞予定

2015年10月01日

2015年9月美術展鑑賞記録

2015年9月に鑑賞した美術展は以下の通り。
トーベ・ヤンソン展@あべのハルカス美術館

結局鑑賞出来たのは「トーベ・ヤンソン展」のみに留まりました。
近場であまり鑑賞したい美術展がなかったのも事実ではありますが。
芸術の秋に期待したいと思います。
その「トーベ・ヤンソン展」は非常に楽しかった。
大阪まで足を運んだ甲斐がありました。
〈ムーミン〉だけでないトーベ・ヤンソンの画業を俯瞰することが出来ます。
『ホビットの冒険』や『不思議の国のアリス』の挿絵も手掛けていたのですね。
特に『ホビットの冒険』が印象的でありました。
トーベ・ヤンソンの作品は今後とも追い続けて行きたいと思います。
posted by 森山樹 at 00:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術鑑賞記録