2015年12月29日

2015年12月美術展鑑賞記録

2015年12月に鑑賞した美術展は以下の通り。
フェルメールとレンブラント@京都市美術館

12月は「フェルメールとレンブラント」の1展だけに留まりました。
この時期は慌ただしさがあって,例年も美術鑑賞出来ません。
心理状態もあまり宜しくなかったこともありますけれども。
「フェルメールとレンブラント」は素直に満足。
何とか会期中に行けてよかったです。
ちょっと期待していたものとは違った気もするけれどね。
フェルメールの数少ない作品を鑑賞出来たのは嬉しいです。
好みから言えば圧倒的にレンブラントのほうなんだけれども。
posted by 森山樹 at 09:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術鑑賞記録

2015年12月28日

京都市美術館『フェルメールとレンブラント』

〈2015年美術展感想39展目〉
フェルメールとレンブラント.JPG

フェルメールとレンブラント 世界劇場の女性
会場:京都市美術館
会期:2015.10.24-2016.01.05
観覧料:¥1,500
図録:未購入

 京都市美術館で開催の「フェルメールとレンブラント」を鑑賞してきました。フェルメールもレンブラントも大好きな画家ということで楽しみにしていました。実際にはそれぞれ各1点のみの展示ということを知って,少し落胆しましたけれども。まあ,レンブラントはともかくフェルメールは残された作品自体が少ないですけれどもね。とは言え,バロック絵画好きとしては非常に興味を引かれる美術展でありました。

 今回の美術展はフェルメールとレンブラントが生きた17世紀のオランダ絵画を紹介したもの。メトロポリタン美術館やロンドン・ナショナル・ギャラリー,アムステルダム国立美術館などから約60点の絵画が展示されていました。一応女性を描いた作品が多かったけれど,風景画なども結構あり,美術展名は実情を表しているとは言い難いものがあります。その風景画が存外に楽しかったのが皮肉ですけれども。特に海洋国家としてのオランダを表すかのような海洋画が実に魅力的。特にコルネリス・クラースゾーン・ファン・ウィーリンゲンの≪港町の近くにて≫の迫力が素晴らしい。帆船の美しさに魅せられてしまいます。また,静物画ではウィレム・カルフの≪貝類と杯のある静物≫が楽しかった。博物画好きとしても満足出来ます。とは言え,やはり今回の美術展の目玉はヨハネス・フェルメールの≪水差しを持つ女≫とレンブラント・ファン・レインの≪ベローナ≫でありましょう。殊に戦女神を描いた≪ベローナ≫は素敵でありました。柔和な表情が戦女神という雰囲気を忘れさせます。その左手に持った盾に彫られたメデューサの表情とは対照的なのが面白い。≪水差しを持つ女≫は意外に印象が薄い。それよりもヘラルト・ダウの≪窓際でランプを持つ少女(好奇心の寓意)≫の方に心惹かれました。如何にもレンブラントの弟子と言った雰囲気の光と影の調和が素敵でした。最後はアルノルト・ハウブラーケンの≪イピゲネイアの犠牲≫が飾ります。ギリシア神話が題材ということで楽しめました。

 当初の期待とは異なりましたが,それでも十分に楽しめた美術展でありました。やはり写実性に満ちた17世紀のバロック絵画は大変に好みであります。そして,レンブラントとその一派の作品が改めて自分の好みと完全に適合していることを再確認しました。あの独特の光と影の演出にたまらなく心惹かれます。今回のフェルメールは思ったよりも印象に残らなかったのが残念。それでも数少ないフェルメールの作品を直接鑑賞出来たのはいい経験でありました。今後もこのような機会を逃すことのないようにしたいものであります。
posted by 森山樹 at 22:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年12月27日

根津美術館「物語をえがく」

〈2015年美術展感想38展目〉
物語をえがく.JPG

物語をえがく−王朝文学からお伽草子まで−
会場:根津美術館
会期:2015.11.14-12.23
観覧料:¥1,000
図録:未購入

 根津美術館で開催の「物語をえがく」を鑑賞しました。根津美術館に行くのは今回が2回目。大変素敵な庭園を有する素晴らしい美術館です。東洋美術が中心ということで特別展は興味を引くものと引かないものの差は激しいのですけれども。今回はコレクション展ということでその全てを根津美術館が収蔵しているというのが素晴らしいです。規模は流石に小さめではありましたが,それでも十分見応えがありました。

 今回の美術展は「物語をえがく」ということで,その名の通りに物語を描いた作品が展示されています。その殆ど全てが屏風絵や絵巻物ということで見応えがありました。扱われている物語も『伊勢物語』に始まり,『源氏物語』,『平家物語』,『曾我物語』,或いは大江山の酒呑童子や玉藻前など伝承に纏わるものもあり,非常に楽しいです。中でも『源氏物語』が多かったのは宜なるかなという印象でありました。その絢爛な美しさは息を呑むばかり。王朝文学の華やかさと相まって平安の装いを今に伝えてくれます。個人的には≪酒呑童子絵巻≫や≪玉藻前物語絵巻≫に目が行ってしまうのですけれども。他にも≪西行物語絵巻≫や≪蛙草紙絵巻≫なども見応えがありました。いずれも室町時代から江戸時代の作品ということで狩野派の影響を強く感じたように思います。展示数は16点と少なく感じますが,8曲1双の≪伊勢物語図屏風≫や≪源氏物語図屏風≫なども含まれているので,かなり多く感じます。また,細かいところまで描写されているので結構じっくりと鑑賞しました。それだけ集中することが出来る程に満足のいく美術展でありました。

 当初は迷っていたのですが,行ってよかったと素直に思える美術展でありました。やはり日本美術への自分の関心が浮世絵のみならず高まっていることを感じます。特に狩野派の作品は好みですね。今回は題材が王朝文学を始めとする物語であったということも楽しめた一因ではありますけれども。このあたりは本当に絵画を絵画として楽しめているのかは悩ましいところ。単にその絵画に描かれた物語を楽しんでいるだけなのかもしれません。それはそれでひとつの美術の楽しみ方とも思いますけれどね。いずれにせよ,存分に楽しめた美術展でありました。大満足です。
posted by 森山樹 at 22:18| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年12月26日

太田記念美術館「歌麿・英泉・北斎」

〈2015年美術展感想37展目〉
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歌麿・英泉・北斎
会場:太田記念美術館
会期:2015.10.02-2015.11.23
観覧料:¥700
図録:未購入

 太田記念美術館で開催の「歌麿・英泉・北斎」を鑑賞してきました。今回の美術展は2014年3月に閉館した礫川浮世絵美術館の収蔵品から厳選された作品を前期と後期に分けて展示するものです。質,量ともに国内屈指の浮世絵収蔵で知られた礫川浮世絵美術館が公開されるのは今回が最後とのこと。その貴重な機会を逃さずに鑑賞出来たことを嬉しく思います。礫川浮世絵美術館は結局一度しか行けなかったのが心残りですけれども。

 今回の美術展はその名の通りに喜多川歌麿,渓斎英泉,葛飾北斎の作品が中心となっていますが,その他にも浮世絵を代表する様々な作品が楽しめるのが嬉しい。黎明期の菱川師宣や奥村政信から始まり,幕末明治の月岡芳年までまさに浮世絵の歴史を俯瞰出来る展示と言ってもいいくらいであります。題材も風景画や美人画など多岐に渡るのが楽しい。尤も,自分が特に好むところの妖怪絵や武者絵などが殆どなかったのは残念でした。とは言え,その数少ない作品の中に歌川芳艶が袴垂保輔と鬼童丸の妖術対決を描いた作品があったのは非常に喜ばしかったです。基本的には如何にも浮世絵といった趣の作品が多かったのが特徴的。東海道五十三次を描いた作品が自分には馴染み深い場所だったというのは面白かった。風景画は自分の知っている場所か否かで見方が全く変わる気がします。一方で美人がはやはりその艶やかさが大変に素敵。歌舞伎役者を描いた錦絵に興味が湧かないのもいつも通りでありました。その迫力は面白く感じるのですけれどね。歌舞伎には全く造詣が深くないというのはどうしても付き纏います。

 浮世絵好きとしては楽しめた美術展でありました。このように素敵な作品を多数所蔵する礫川浮世絵美術館が閉館してしまったというのはやはり残念に過ぎます。今回,このような形でその一端に改めて触れることが出来たというのがせめてもの幸いでありましょうか。なお,太田記念美術館は暫く改修工事の為に休館するとのこと。大好きな美術館でありますし,自分好みの美術展を多数開催してくれる美術館ですので,再開したらまた訪れたいと思います。
posted by 森山樹 at 21:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想

2015年12月25日

永青文庫「春画展」

〈2015年美術展感想36展目〉
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春画展

会場:永青文庫
会期:2015.09.19-2015.12.23
観覧料:¥1,500
図録:未購入

 永青文庫で開催された「春画展」に行ってきました。開催前からのその是非に対して論議が起こった美術展というのも面白い。日本が誇るべき芸術でありながら,その当の日本では不当に貶められた評価をされているというのは不幸に思えます。尤も,その話題性故に開館30分前に訪れたにも関わらず,それなりに長蛇の列が出来ていました。入場制限をかけることで鑑賞に支障を来たしたわけではないのが幸いでありました。

 浮世絵春画ばかりが集められた日本初の美術展であります。その意味でも非常に貴重な機会でありました。扱われているのは渓斎英泉や歌川国貞,月岡雪鼎,鈴木春信,鳥居清長,喜多川歌麿,葛飾北斎ら錚々たる面々。他にも狩野派による肉筆作品なども展示され,実に見応えがありました。惜しむらくは前後期で作品の多くが入れ替えられ,その全てが鑑賞出来たわけではないということ。会場がそれ程大きくないこともあって仕方がない部分はあるのですけれども,楽しみにしていた幾つかの作品が見られなかったのは残念でした。いずれにせよ,かなり赤裸々で大胆な描写も多く,当時の大らかさを思わせます。また,獣のみならず,エイやタコと人間の性交を描いた浮世絵などもあり,その想像力に驚かされます。この性愛文化の裾野の広さが非常に印象的でありました。また,睦合う男女が共に愛情に溢れていたのも心に残っています。所謂,一方的に強制された性愛というのは全く見受けられませんでした。このことからも春画が愛を描くひとつの分野であったことが言えるかと思います。少ないながらも豆版と呼ばれる携帯性の高い小さな春画の展示があったのも面白い。新年に登城した大名たちの間で交換されることがあったというのも興味深いです。春画がまた大名から庶民まで膾炙していたことのひとつの表れであろうかと思いました。

 様々な意味で印象に残る美術展でありました。その歴史的な意義の高さも特筆もの。今回の美術展を機会に春画展が開催されることを望みます。浮世絵や狩野派の作品など自分の好きな日本美術の分野が主題となっているのも楽しめました。また,結局購入することは断念しましたが,図録の完成度が非常に素晴らしかった。これまで不当に貶められていた春画の鬱屈が晴らされるかのような素敵な美術展でありました。大満足です。
posted by 森山樹 at 22:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 美術展感想